日本臨牀 特集:慢性疼痛updateにうららかVRの磯谷医師が寄稿

順天堂大学醫院で行われている「うららかVR」の臨床試験の途中報告です。

2044 日本臨牀77 巻12 号(2019-12) ―実地診療に役立つ最新知見―
以下本文PDF抜粋

近年,薬剤を用いない非薬理学的な治療が注目されている.中でも,仏痛に対する行動療法は,うつ病などの特定の疾患において有効であることが報告されており,その発展型であるvirtual reality(バーチャルリアリティ)には痛みに対する新たな効果が期待される.

3.バーチャルリアリティを用いた慢性仏痛の治療

バーチャルリアリティとは,360 度立体映像による3 次元での空間認知を提供するもので,没入型,多感覚型である仮想空間内での自己意思に基づいた行動が体験できる.バーチャルリアリティにより,ユーザは「臨場感」を作り出すことで現実の体験を変更することが可能である(図1).

慢性仏痛に対するバーチャルリアリティを用いたアプローチは,行動療法の一つと捉えることができる.これまでバーチャルリアリティは,不安障害の治療,仏痛の管理,身体的リハビリテーションの支援および創傷治療中の患者の支援などを目的として試みられてきた.
バーチャルリアリティによる慢性仏痛抑制のメカニズムは,被験者がバーチャルリアリティを経験することによって,視覚的,聴覚的に自己受容的な感覚が刺激され,侵害刺激が抑制されることであると考えられている8, 9).
われわれは,泌尿器科の患者を対象としてVR ヘッドセットによるバーチャルリアリティを用いた仏痛緩和を試みた.

被験者はVR ヘッドセットを装着してバーチャルリアリティを体験した(図1,2).
このバーチャルリアリティ体験によって,慢性痛が軽減し,鎮痛剤の用量を減量することができ,バーチャルリアリティが慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群による痛みを管理するための新規で非薬理学的なアプローチとなり得る可能性が示唆された.

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